卯月の恋
「あの日、店の客に後をつけられてて、部屋の前で追い返そうとしてたらすみれに見つかってさ。あの子、俺のストーカーするくらいだから、すみれになんかされたら、と思ってあんな言い方した。あの後、すぐに帰らせたけど、家がバレた以上、またいつ来るかもわからないし。すみれのうちに行くとこ、見られてもやばいし。だから、引っ越した」
礼央は、ごめん、と小さく呟いた。
「その時、ホストもやめようと思った。嘘をつくことでしか好きな人を守れないなんておかしいよな」
好きな人。
礼央の言葉に、また涙がぽろり、とこぼれた。
礼央は私の涙を指先でぬぐって言った。
「すみれに泣くな、って言ったのは、泣いてるのを見たら、抱き締めたくなるから」
私は礼央に抱きついた。
シャツからはタバコの匂いはしなかった。
礼央はそっと私を抱き締めて、ごめん、ともう一度謝った。
「なにに謝ってるの?」
「急にいなくなったこと。嘘ついたこと」
「もういなくならない?」
「うん」
礼央は、ごめん、と小さく呟いた。
「その時、ホストもやめようと思った。嘘をつくことでしか好きな人を守れないなんておかしいよな」
好きな人。
礼央の言葉に、また涙がぽろり、とこぼれた。
礼央は私の涙を指先でぬぐって言った。
「すみれに泣くな、って言ったのは、泣いてるのを見たら、抱き締めたくなるから」
私は礼央に抱きついた。
シャツからはタバコの匂いはしなかった。
礼央はそっと私を抱き締めて、ごめん、ともう一度謝った。
「なにに謝ってるの?」
「急にいなくなったこと。嘘ついたこと」
「もういなくならない?」
「うん」