卯月の恋
ドアを開けると、初めて会った時みたいなパーカー姿の玲音がいた。


「どどど、どうぞ」

思いきりかんだけど、玲音はそれにはノーリアクションで「おじゃましまーす」と小さい声で言ってから部屋に入った。


私の部屋は1Kで、部屋の奥にベッドとキリコのケージ、あとは小さいちゃぶ台とテレビ台を置くと、もう家具は置けないくらい狭い。


玲音はキリコのケージに近付くと、キリコをのぞきこんで「名前なんだっけ?」と聞いた。


「キリコ、です」

「あ、そうそう。キリコ」


キリコは鼻をひくひくさせながら、玲音のすぐちかくまで寄ってきた。


「元気になってよかったな」


キリコに言ったのか、私に言ったのか、分からなかったけど、その言い方はすごく優しかった。



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