卯月の恋
カツ丼と小松菜の煮浸し、それに白菜のお漬け物とお味噌汁。

そんなメニューを玲音と向かい合って食べながら、やっぱり老夫婦っぽいかも、なんて思う。

いや、老夫婦はカツ丼なんか食べないかもしれない。

だけど、私は玲音が好きで、玲音の体を気にしてて、玲音のために健康によさそうなものを作って、それを二人で一緒に食べてる。

これって、やっぱり老夫婦っぽい。


「…なに?」


知らず知らず、にやけていたらしい。
玲音が眉を寄せて、私をのぞきこんでいる。

やばい、
私ものすごく変態っぽいかも。


「いえ…別に…」


もごもごと言い訳すると、


「なんだよ、言えよ」


珍しく、玲音が突っ込んできた。

いつもなら、ふぅん、で終わりなのに。

「いや…あの…」


老夫婦みたいですね、なんて口が裂けても言えない。


どうやって誤魔化そうかと考えていると、玲音とバッチリ目があった。


うわぁ…。
そんなきれいな目で見つめられたら恥ずかしい。

かぁ…と顔に血がのぼる。


「顔、真っ赤」

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