卯月の恋
「鍵は?自分で開けれる?」

川崎さんの言葉に、吹き出しそうになった。

鍵?開けれるに決まってるじゃないっすか。


へへへ、と笑いながらバッグをのぞきこんでガサガサかきまわしていた時だった。


ぐいっ、と腕をつかまれて体がよろけた。


えっ?
な、なに?


転ぶっ、と思った瞬間、ぱふっと私は誰かの胸の中にいた。


「会社の方ですか?すみれがご迷惑をかけて申し訳ありません」


この声、
この香り、


間違いない、
玲音だ。

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