卯月の恋
その日の帰り道、駅に降りると雨が降っていた。

降るなんて言ってなかったのに…。

朝に見た情報番組のお天気お姉さんに向かって心の中で文句を言う。


少し待ってみたけど、雨はやむ気配もなく、むしろさっきより強く降りだしたような気がした。


駅前のコンビニに行けばビニール傘は売ってるだろうけど、あの狭い部屋にすでに何本もあるビニール傘を思い出すと買いたくない。


バッグの中をごそごそして、ハンドタオルを引っ張り出すと、私はそれを河童のお皿みたいに頭に乗せて走り出した。
< 56 / 105 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop