卯月の恋
「…玲音?寝た?」

玲音の背中に声をかけてみる。



「寝た」



「玲音は…どうして私にお店に来いって言わないの?」



「無視かよ…」



「だって起きてる」


「店、来たいわけ?」


「そうじゃないけど…よくわからないけど、行ったら玲音が嬉しいのかなぁ、と思って。その…売り上げとか、ノルマとか、あるんでしょう?」



「嬉しくない。職場に行ってまでアンタに付き合うの、めんどくさい」


「……」


めんどくさい、か。
ちょっと落ち込むんですけど。



だって、玲音は私に笑ってくれないんだもん。
お客さんには、いっぱい笑顔、見せてるんでしょう?

私だって、玲音の笑顔が見たいんだもん。
笑ってほしいんだもん。


じわ…と目頭が熱くなって、慌てて目をこすった。


だから、めんどくさいなんて言われるんだ、私。
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