卯月の恋
男の人は私を無視して、小さくあくびをすると目を閉じた。

完璧に話しかけるなオーラだ。


「あの、お名前…」


「…うるさいな」


男の人はぼそっとそれだけ言うと、目を閉じたまま少し体を傾けて私に背を向ける。

私はそっと身を乗り出し、その人の顔をまじまじと見つめてみた。

寝ているのをいいことに、隅々まで観察してみる。


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