卯月の恋
「…なんだよ。泣いてんの?」


「泣いてなんかいません」


「ふぅん」


布団が、がさっと音をたてて、玲音がこっちに近付く気配がした。


「なっ、なっ、なに!?」


なんかする?
なんかするの?



「別に?寝返りうっただけだけど」



なんだ…。
めちゃくちゃあせっちゃったじゃん。
なんだか、私バカみたいだ。
ていうか、バカだ。


「アンタさ…」



「な、なに?」



「もしかして、襲われたいの?」




「へっ?」



襲われたい?


思わず後ろを振り向くと、すぐ近くに玲音がいた。



玲音は、体を起こすと、肘で体を支えて私を上から見下ろした。


「キス、しよっか」


その言い方は妙に色っぽくて、私を見つめる玲音の瞳はあまりにも綺麗だった。


好きで好きでたまらない。
年齢も出身地も名前すら、知らなくていい。


私はあなたが好き。


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