卯月の恋
ベッドに近付くと、玲音はまだ寝ていた。

夜に寝る私とは違い、玲音にとっては今が寝る時間帯なのだろうと納得しようとして、何かが胸に引っ掛かった。

それなら、昨日は私に合わせて電気を消してくれたのかな。

玲音は眠くなかったのに、寝るふりをしてくれてたのかな。


じゃあ、いつ寝たんだろう。
ほとんど体勢が変わってなかったのは、ついさっきまで起きてたから?
寝てないのに、ずっとそばにいてくれた?



だとしたら、ずるい人だ。

玲音は優しくて、ずるい人だ。


好きでもないのに、一晩中そばにいてくれる、優しくてずるい人だ。

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