卯月の恋
オフィスビルからスーツを着た何人かの男の人がぽつぽつと出てきては、駅に向かって歩いていく。

大きなIT企業のビルだ。


「すみれちゃん、あそこ見て」


川崎さんに言われて見上げた先は、ベイサイドホテルの屋上で、そこはひときわ明るい。


「ビアガーデン、あそこだよ」


「高いですねー」


「26階だったかな」

「ティラミス、りんごのシブースト…」

「ん?なにそれ?」



おかしそうに聞く川崎さんに説明しようと、上に向けていた首を戻そうとした時だった。


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