卯月の恋
「わっ!す、すみませんっ」


向かいから来ていたスーツ姿の男の人に思いきりぶつかってしまった。


「…いえ」


私がぺこり、とお辞儀をすると、男の人も軽く会釈をしてから、通りすぎようとする。



ふわっと、風が吹いた。


「ティラミスと…なんだっけ?」



川崎さんが話しかける。


私は振り返った。



――…あの人。


私、知ってる。




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