君と二人で奏でる音




それから数日がたった。



あれからというもの、
紗理奈ちゃんは他の女子に押されて、というのももちろんあると思うが、
今まで以上に透と話している時間が増えたと思う。



ある時は二人で。

ある時はたくさんの女子も一緒に。





そんなこんなで、
ただでさえ少なかった私と透の時間は、
全くといっていいほどに無くなった。





そんなの、なんでもないって。

思ってたよ。ずっと。


近くにいなくたって。
一緒じゃなくたって。

別に、大丈夫だって。



でも、透との時間が家族よりも長いことだってあったくらいで

1日で一度も話さなかった日なんかは、
少し泣きそうにもなった。


寂しい、悲しいって。
何度も思った。






紗理奈ちゃんと透の距離は、
あっという間に縮んでいった。



二人で笑い合っているのなんて、
いつしか"当たり前"に変わった。






そして。



いつしかその光景に
胸が傷んで、苦しい気持ちになるのだって

当たり前になってしまったんだ。






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