君と二人で奏でる音
「…っありがとう。
…私も、好きでいても、いいかなぁ」
私の頬に、涙が伝っていく感覚。
紗理奈ちゃんみたいないいこに出会えて、良かったって。
本当に強くそう思った。
そのあと、私と紗理奈ちゃんは前よりも仲良くなった。
よく一緒にいるようになったし、
学校で話すのはもちろん。
二人でいるときは、恋愛相談をすることもあった。
そして。
ある日の放課後。
「…なな。
私、頑張ってくるから。」
緊張しきった表情で、紗理奈はドアの向こう側を見つめていた。
今日は紗理奈にとっての決心の日。
…透に思いを伝える日。
教室には、私が呼び出していたから透がいるんだ。
「大丈夫。
…頑張れ、紗理奈。」
私、変われたよ。
紗理奈と一緒にいて、本当に、心から応援が出来ているんだ。
頑張れって、思ってるよ。
紗理奈は私の顔を見て、
一度頷いたあとに、とびきりの笑顔を向けた。
「…行ってくるよ。」
そして、紗理奈はドアの向こうへと姿を消していった。