君と二人で奏でる音



「…っありがとう。

 …私も、好きでいても、いいかなぁ」






私の頬に、涙が伝っていく感覚。





紗理奈ちゃんみたいないいこに出会えて、良かったって。


本当に強くそう思った。








そのあと、私と紗理奈ちゃんは前よりも仲良くなった。


よく一緒にいるようになったし、
学校で話すのはもちろん。

二人でいるときは、恋愛相談をすることもあった。








そして。



ある日の放課後。









「…なな。

 私、頑張ってくるから。」





緊張しきった表情で、紗理奈はドアの向こう側を見つめていた。







今日は紗理奈にとっての決心の日。




…透に思いを伝える日。





教室には、私が呼び出していたから透がいるんだ。








「大丈夫。


 …頑張れ、紗理奈。」







私、変われたよ。


紗理奈と一緒にいて、本当に、心から応援が出来ているんだ。





頑張れって、思ってるよ。







紗理奈は私の顔を見て、
一度頷いたあとに、とびきりの笑顔を向けた。







「…行ってくるよ。」








そして、紗理奈はドアの向こうへと姿を消していった。






< 19 / 32 >

この作品をシェア

pagetop