君と二人で奏でる音
それからは、
数分後に出てきた透の姿を見て、
私もすぐに中に入った。
「…紗理奈?」
教室の奥の方で、俯いたままの紗理奈に
私はドアの近くから、小さな声で呼んでみた。
すると。
「…振られ、ちゃった!!」
パッと顔を上げ、紗理奈が言った。
その顔には、涙なんてなかった。
でも、笑ったその表情はどこかぎこちなく感じて。
苦しそうで、悲しそう。
紗理奈の心境を考えただけで、
私の方が泣いてしまいそうだった。