君と二人で奏でる音



ねぇ紗理奈。





私の前では、無理なんてしなくていいんだよ。






苦しいんだって、辛いんだって、思いっきり……







「泣いても、いいんだよ。」







紗理奈の近くまで歩き、


頭にポンと手を乗せた。








私の言葉のすぐ後、



それを合図にしたように、紗理奈の頬を涙が伝っていった。







「…ななっ


 ……私、振られちゃったよ



 好きな人、いるって……


 私、苦しいよ…!!」








私はただ、泣きじゃくる紗理奈を見つめて、背中をさすっていてあげることしかできなかった。






力になりたいと、

そう強く思うのに。






私なんかじゃ、どうにも出来なくて。







なんだか悔しさが残った。








そして。







”好きな人、いるって……”







紗理奈の言った、その言葉が




私の頭から離れて行かなくて






胸に、重くのしかかった。








< 21 / 32 >

この作品をシェア

pagetop