君と二人で奏でる音



次の日になると





「今度は、ななの番だからね!!」






朝、学校についてすぐ。




紗理奈からそう言われた。






小学生の私は、告白なんて当たり前のようにしたことがなくて。




…でも、興味はあって。







紗理奈は凄い。



たった1日で、まるでなにごともなかったかのように透に話しかけているから。







本人は、「透くんがそうしてって言うから」なんて言うけれど、私だったら絶対にそんなこと出来ない。






それに。



多分、他のみんなは気づいていないけれど、紗理奈の目は少しだけ腫れていた。




きっと、昨日家に帰ってからもたくさん泣いて、皆にはバレないようにと、必死で明るく振る舞っている。






そんな彼女の姿は、見ているだけでもとても辛くなるものだった。







それが紗理奈の選んだことなら私はなにも言えないけれど。






…紗理奈が一人で悲しんでいるのは嫌だった。








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