君と二人で奏でる音
紗理奈と仲良くなってからは、透とも少しずつ前のような仲を取り戻していたけれど。
…もし、告白して振られたら。
透と合わせる顔がないし、お互いに避け合うことは目に見えていた。
それでも私は透が好きで。
告白するという決心が揺るぐことはなかった。
バレンタインが近づくにつれて大きくなっていく不安と期待。
今まで一緒にいただけあって、期待の1つもするのは無理なかった。
そして、とうとう……
「緊張、してきた…」
「なななら、大丈夫!!」
それはまるで、紗理奈が告白をした時のような。
この日は待ちに待ったバレンタインデー。
いつもより寒くなった辺りは、今にも雪が降りだしそうだった。
場所は透の家の前。
インターホンを押す、というたったそれだけの動作に緊張が止まなかった。
…これを押したら、もう、後には引けない。