君と二人で奏でる音
電車を降りると、
そこには見たことのない景色が広がっていた。
私のいつもいる場所より、
うんと騒がしくて
なにも、見えなくなりそうな世界。
…やっぱり来るの、止めておけばよかった。
そう思いつつも、私は人混みの中へと足を進めていった。
まるでなにかに吸い寄せられるように。
なぜだかは分からないけど、
足を前に進めれば進めたぶんだけ
鼓動が早くなっていく。
不思議な感覚。
すると、私はある1つの場所で足を止めた。
一際大きな人だかりができた場所。
耳を済ますと、その中心部からは人の声…
歌声が聞こえてきた。
私の興味を引いたそれに、
近づきたいという衝動にかれれるままに
私の足は声の方へと進んでいった。