君と二人で奏でる音
でも、なおも透は私を見つめる。
そして、気づけば私は彼に腕を引かれていた。
…もう、どうでもいいよ。
投げやりになり、
そのまま大人しくついていく。
寄り道なんて、しなければよかったんだ。
そう思う反面、
どうしても久しぶりに会う透に感情を動かされている自分に気づき、
胸が苦しくなる。
少しすると、
私たちは喫茶店のようなところに入ったようだ。
暗くなった外から急に眩しさを覚えて気づく。
「七海」
席につくと、透は私に声をかける。
その声には先ほどまでの感じはなくて
私が"七海"であることをまるで疑っていない様子だ。
…まぁ、そうなんだけどさ。