笑って抱きしめて
「家どこ?」
「いいって、ほっとけよ。」
ぐったりした表情してる癖に、
こんな時に強がる橘。
「馬鹿!心配くらいさせてよね。」
そう言うと、下を向いてモジモジ何か言いながら家までの道を教えてくれた。
「ここ。」
「でかー!まぁいいや。じゃー気をつけて。」
「お、おい!どこいくんだよ。」
私が手を離して、戻ろうとしたとき
橘がそれを引き止める。
「何って、学校戻ろうかと。」
「看病までしてけよ。心配なんだろ?」
な、なんて上からモノを言うんだ。
この男。
でも、確かにすごく心配。
ここまでキツそうにしている橘見たことがない。