笑って抱きしめて
相手は高校のミス。
名前は聞いたことがある。佐々木ゆうこ先輩。
私の彼と幼なじみだとかで、仲がいいことでも有名だった。
私に勝ち目なんてないか。
そう自分に言い聞かせても、涙は止まることなく逆に溢れ出てくる。
「うぅー。まだ好きなんだよ。ぐす。先輩。」
忘れられないよ。先輩から香る洗剤の香り。
あの低くて優しい声も、くしゃくしゃな笑顔も。全部、忘れられないよ。
「なぁ、お前泣きすぎ。うるさい。
眠れねぇじゃん。」
その時、現実に戻らされるかの様に
上からふってきた冷たい声。