笑って抱きしめて
今は授業中。
ここにいる人なんて私しかいないと思ってたのに。
だれ?見られた恥ずかしさと驚きで
反射的に振り向く。
そこにいたのは、眠そうに目をこする
「橘たつや。」
学校1のモテ男。
冷静沈着で頭良し、運動神経良し。
そして何より整いすぎたこの顔立ち。
聞いたことがないわけない。
でも、誰の告白も受け入れず
理由を聞いても苦しそうな笑顔を見せるだけ
誰も彼のことを知らない。らしい。
そんな謎めいた男に私の泣いてる姿を?
「なんで、フルネーム?」
身構えた私に見せた、太陽みたいな笑顔。