笑って抱きしめて
「振られてないし、別に別れたりしない。」
「もしかして、知らんぷりするの?
見ちゃったんでしょ?現場。」
橘は弱くて空っぽの私の心を
なんの躊躇もなく、硬い矛で突き刺してくる。
「仕方ないじゃない、好きなんだから。」
何度も終わらせようと思ったよ。
先輩の目に私なんてうつってない。
知ってたよ。
「ふ、意外に大人だな。
でもダメだ、そんなんじゃお前はすぐに壊れる。
別れられる内に別れとけって。な?」
なにいってんの?
私の気持ち今話したじゃん。
「なんで、あんたに言われなきゃいけないの?」
橘たつやは、離れていたとこから
私に近づいてくる。
今度は苦しそうな表情を浮かべて。