イケメン無愛想S男子と契約を
それからというもの、
普通にぶらりと園内を二人で歩き
たわいない会話を続け
(彼はほぼ喋らないので一方的だけど)
全てを見尽くしてしまった。
楽しませるどころじゃなく
私はあのセリフが気になって気になって仕方がなくて
話すのがやっとで...
悔しい。
「お腹すいたし、そこのレストラン行こう?」
しゅんっと顔を下に向けおちこんでいたわたしの袖を
彼はくいくいっと引っ張った。
「...曽良さん」
「ん?」
不意に彼の顔を見たくなって
名前を呼んでみた。
「あの...」
「なに?ハンバーグもしかして嫌い?」
向かうレストランの看板にはデカデカとハンバーグの文字。
そうじゃなくて...
と、私は首を横に振った。
「曽良さん.......の言葉が」
「なになに?俺の言葉がどうしたの?」
まるで迷子になった子にたいしてはなしかけるように
彼は立ち止まって私の目線に合わせるように
腰を低くした。
今まで見上げていた彼の顔がとても短に感じられて......
胸が高鳴る。
「不意なその...胸キュンポイント作らないでくださいよ」
「ゆりー」
咄嗟に顔をそらしたわたしに対して
彼は甘えるように私の名を呼んだ。