イケメン無愛想S男子と契約を
「...だ、だからそんな私の顔見ないでください。恥ずかしいんで。」
目線を地面に向けたまま私は小さくぼやいた。
彼は小さく笑う。
優しく笑うんだぁ、曽良さんって。
見かけによらず硬いガードみたいなものを感じていたけど、今は淡い雰囲気をまとっているように感じる。
「君もね。ゆりも、時々俺をドキってさせるんだから。」
ドキュンと心臓を射抜かれたみたいに
胸がざわめき始める。
反則だ。
少しだけほんの少しだけ彼の握る手が強くなった気がして
本物の恋人同士じゃないかと勘違いしてしまう。
ずるい。そういうとことてもずるいよ。
いつも私より余裕かまして、
私をドキドキさせる。
「ぁ、....あ...う」
何も言えなくて、何か言おうとしても
好きってことばしか見つからない。
なのに素直に言えないのは...
マリネっていう見知らぬ女の子の名前のせい。