イケメン無愛想S男子と契約を
「っと、まぁ、そんなこと答えてる暇ないよね?」
その爽やかな声と
視界に現れた黒いサラサラの髪は...
「そ、らさん...。」
え?なんで?なんで?
どうしてそこにいるの?
「さぁ、いいから血相変えた流星がこっちに走ってきたよ。」
ほらね?
そう...大好きな曽良さんが指差した先には
顔を真っ赤にさせ
...パンツを履き終えた彼が走ってきていて..
やばいっ!!!!
「曽良さんっ!逃げましょっ!」
「はいはい。っていうか遅い。」
そのセリフと同時に
暖かくなる左手。
まだ走ってもないのに遅いだなんて決めつけるなんて...
なによ曽良さん...。
「早く!握って!」
「は!!!ふあぁっい!」
ギュッと左手に添えられた
そ、そ、曽良さんの右手!?
慌てすぎて噛んじゃったよ...
「はっはは!やばい!今噛んだよね!」
ククっと笑いながら、
階段を駆け下りる曽良さんに引っ張られながら
私も階段を二段飛ばしで降りていく。
「ちょ!うおっって!笑いすぎってっ!うわぁ!?は!速いよ!!」
ビュンビュンと風が髪を乱していく。
私の前を進む曽良さんは容赦なくスピードを上げていって
もう降りるのが精一杯。
「待て!この野郎!!」
ひぃーー
とは言いつつ、もう直ぐ後ろに迫っている
山野さんに
私は、曽良さんが居なかったら今頃階段で捕まって...
ヤラレてたところだったんだ。
「そ!曽良さん!」
「いいから声出さないで。早く降りて!」
そのセリフに度々
小さく曽良さんの笑いが入っていて
なんか...すごく楽しそう。
階段を一段一段降りるたびに
ふわった舞いあがる髪の毛に
時々、私の方を振り返って
流星が来たぞっ!早く早くっ!
って笑う彼が...
ものすごく無邪気でとても可愛くて
とてもかっこよくて
胸がすごく苦しい。
私ってものすごく今まで一番幸せだっ!!!
「きゃーーーっ!くるってくるって!!」
「お前が遅いからだろ。というか、可愛く悲鳴あげんな。バレバレなんだよ」
「だって!だって曽良さんが」
ものすごくかっこいいんだから。