イケメン無愛想S男子と契約を
契約
彼との契約
曽良さんは、わたしと恋人同士として接する。
わたしは、曽良さんに人のぬくもりたるものを教える。
期限は...
「ぇ?一ヶ月?」
チャイムがなって数分後。
5時間目の時間が始まっているというのにわたしたちはベンチで日向ぼっこをしていた。
....いや、そんな可愛いことではない。
「そう。一ヶ月。それが終わったら俺は君を捨てる。君も俺に近づかない。
「は.....ぇ...。だって無理だよ。一ヶ月とか...そんなの」
小さい頃から静かな私は、人とコミュニケーションをとるのが苦手だ。
今も昔も...おどおどしい態度にみんな面白がった。
私が勇気を出して反抗する私を笑った。
「へぇー。じゃあ契約なし。あの子たちに付き合ってないって言ってもいいの?」
ちらりと目だけを彼に向ければ、にたりと笑った。
「な!?そんなの...!最低。」
「最低は君。」
そうでしょ?っと、ツンと彼の指が鼻をつつく。
彼の行動に驚いて素早く鼻を押さえた。
...反則すぎる。
その笑顔もカッコよく嫌味なくらい爽やかだ。
「わ、わかった。頑張る。一ヶ月で私といるのが楽しいと思わせればいいんでしょ?」
「うん。そう。頑張って。」
ポンポンと頭を叩かれ、また彼のぬくもりが体に伝わったと思うと
なぜか嬉しくて、そっと頭に手を当てる。
「.....やってやるし。」
「そうそうそのいき〜」
最初に話したのがついさっきだということを忘れるほど
彼は余裕な顔で私の顔を見つめた。
じっと見てくる彼の目線に耐えかねて目をそらす。
「な、なに?」
「.....いつか好きになってみたいなー。ゆりさん。」
「へ?」
あまりの不意打ちにあたまがついていかなくなる
ぇ?
曽良さんが、好きって言葉を口にした?
「ふふ...。まぁまぁ、がんばれ」
そう言うと、クールな顔つきに戻った彼は本を取りに校庭の隅に歩いて行った。
好きになって.....
いやいや、聞き間違い?
だってそんな...彼と私は嘘の恋人同士じゃない。
そう。またからかわれてるんだ。
何が好きよ...
私は彼を好きにならない。
そして彼にぬくもりを与える。
恋人とか好きとか
そんなことかんがえなくていい。
彼を楽しいと思わせたら、彼は私を救ってくれる。
私も救われるんだ。
いらない変な気持ちは捨てよう。
中澤 ゆり。
『そら アオにぬくもりを』
目標はきまった。