空模様

6;時間

18,光

次の朝、いつもより早く目が覚めた僕は

早速準備に取り掛かった。

カツラを例の通りかぶって、まだ暗い空を見ていると

『ブロロロロロ…』

遠くの方から微かに、新聞配達のバイクの音がする。

まだ約束の時間帯までは、時間があるけど

ゆっくりと階段を下りて玄関へ。








「!」

『!』

「…お、おはようございます」

『おはようございます!!』

「早いですね…」

『はい!いつもより早く目が覚めて!!』

い、一緒だ。

なんて話していると、太陽が顔をのぞかせ始める。

『あ!』

ゆっくりと朝を伝える太陽。

僕たちは大きく新鮮な朝を吸い込む。

『すぅー』

今更だけど、改めてこの状況を考えると、

なんて不思議なんだろう。

ずっと引きこもりだった僕が、ほとんど何も知らない男と

朝の空気を共有している。

「…」

ちらっと、彼を見てみる。

『…』

朝の光に照らされた、その横顔は、初めて見る彼の表情だった。

目がそらせなくなりそうで、あわてて別れのあいさつをした。

「また明日。」

『はい!また明日!!』

また明日。


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