いと。
序章
「さて…と。」
身支度を整え、朝のラッシュには無縁の10時過ぎに出勤するためマンションを出る。
スーツは着ない。
今日の服は動きやすさ重視でできるだけキレイなモノを…と選んだ淡いブルーの膝丈ワンピースとローヒールだ。
右手の薬指には、彼とのペアリングが常に光る。
これはつるんとしたシンプルなデザインで、お互い仕事中にしていても目立ちすぎず指に馴染むものを…と、去年の誕生日にプレゼントされたものだ。
彼はシルバー、私はピンクシルバーで、その日から毎日外したことはない。
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