いと。

閉店前のスーパーに滑り込み、買い物して薫のマンションに帰り、キッチンに立つ。

「じゃが、人参、玉葱、アスパラにコーン、グリンピースにほうれん草にベーコンっと。」

材料を並べて手を洗い、お鍋を出す。

時々こうして彼の夜食を作ることがあるんだけど、お店で出すフードメニューの試作をしたりもするから薫のキッチンはツールも調味料も揃ってて使いやすい。

それにいつもキレイに片付いている。

それはとても完璧主義の薫らしいことで。 

薫は調理の学校を出てから以前勤めていたバーで修行し、他にアルバイトもしながら自力で資金を貯めて今のお店を持った。


私と出逢ったのも、ちょうどその頃だった。


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