いと。
『仕事中だから今日はこれで。』
そう言い残し、結局彼は早々に立ち去った。
ものの数分も経たないうちに。
「アイさんお休みの間しょっちゅう来てましたよ。お店に入らなくても外からウィンドウ覗いたり。
これはもう確定じゃないですか!
どうするんですかー?多久島さんに怒られちゃったりしてー。きゃー!」
「……………。」
店長の目を盗むように耳うちしてきた亜美ちゃんは恋バナの大好きな彼女らしく目が輝いていて、まるで修羅場を期待しているかのようだった。
でも薫にしか興味がない私にとってそんなことあるわけもなく…。
『いつも来てた』とか言われたところで常連のお客様のひとりにすぎなかった。