いと。
3章 後悔
「…で?どうなんだ?
話はもうまとまっている。別に強引なやり方をしても構わんが…。」
スーツ姿で広いリビングのソファに腰掛ける白髪交じりのその男は目の前に立つ息子に一瞥をくれてそう言った。
「…………。」
ずっと苦手にしてきた無表情な視線を向けられ、思わず黙ってしまう。
「曜?報告しろ。」
「…あぁ、はい。
強引に事を運ぶのも早い手ではありますがやはり…」
終始淡々とした口調で話す。
感情を出さず、ただ目の前の父に従う。子供の頃からずっとそうしてきた。
それが家族の正しい姿であり、求められている自分の姿だった。
今はまだそれでいい。それで…いい。