いと。
「薫。」
キッチンに入ろうとしたところを呼び止められてそちらを向くと、差し出されたのは一通の手紙だった。
「コレを、渡しに来たの。」
そう言う表情は柔らかい。
そっと、その手紙を手に取ると差出人は一目でわかった。
可愛らしいリボン柄の封筒。
大きく歪んだ拙い文字。
書かれていたのは……『ぱぱへ』。
「あなたに渡してほしいって。何度も書き直してたわ。
そろそろ、決心してくれない?」
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