いと。

「薫。」

キッチンに入ろうとしたところを呼び止められてそちらを向くと、差し出されたのは一通の手紙だった。

「コレを、渡しに来たの。」

そう言う表情は柔らかい。

そっと、その手紙を手に取ると差出人は一目でわかった。

可愛らしいリボン柄の封筒。

大きく歪んだ拙い文字。

書かれていたのは……『ぱぱへ』。

「あなたに渡してほしいって。何度も書き直してたわ。

そろそろ、決心してくれない?」


< 236 / 561 >

この作品をシェア

pagetop