いと。

「ありがとうございました。」

最後の客を帰し、閉店後の片付けをし始めると鳴るはずのないドアベルが鳴った。

「すみません。今日はもう…っ!?」

その姿に息を飲む。

現れた人物は、愛の父親だった。

「一杯だけいいかな。君と話がしたい。」

「………どうぞ。」

「…薫さん。」

心配そうな雄太に『大丈夫だよ。殴ったりしないから。』そう小声で伝え、先に帰す。

あいつはやたらとカンがいいから、不穏な空気を感じたんだろう。


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