いと。
「…覚悟?」
覚悟を決めたと、愛は言った。
その顔はとてもクリアで、凛とした雰囲気だった。
「うん。私、今まで逃げて目を瞑ってたからここに来て慌ててるんだなって気づいたの。
だからちゃんと向かい合おうって。
父とも話さない、相手だっていう人が誰かも知らない。
それじゃダメでしょ?
ちゃんと戦って、話して、断る。
仕事もちゃんと見つけて、自分の人生は自分で決める。
だから……………ね。」
まっすぐに視線を向けてきた愛は…その瞳の奥に何を思い描いていたのか。
「暫く、薫とも会わない。ひとりで…、退路を絶ってってわけじゃないけど後がないってくらいの気持ちで臨みたいの。」
「…………………。」
あまりの潔さに驚いた。
『愛には俺がいないと』
それが揺るぎない関係だと思っていたのは、勘違いだったのだろうかと。