いと。
5章 あなたは愛せない

ー 戸澤 曜 ー

まさかその名前が出るなんて………。

何度もLINKに来ていた目的は、勝手な結婚を進めているからだったんだ。

…知ってて私に近づいたんだ。

確かに彼が来るようになったのは父が結婚の話をしに来たあとだった。

そしてよく来るようになって…。

インテリアの話をしたことも、ライトや食器を買っていったことも、あの、ミニチュアのティーカップも……

全部、仕組まれたことだったんだ。

「……じゃああの顔も、計算のうち…?」

ふと、あの時の照れたような顔が浮かんだ。あれを見た時、私は初めてあの人が同じ種類の人間であるような気がした。

警戒心も苦手意識も薄れてきたところだった。

だけど…もういい。結局は父とグルだったんだ。


人の人生を好き勝手しようとする、父と同じ種類の人間なんだ。


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