いと。

飛行機の窓の外に広がる空を眺めていると、浮かんだのは曜の笑顔だった。


………薫ではなく。


私は曜を愛せるだろうか。

薫への気持ち…は、自分で納得して封印した。今はまだモヤモヤと燻っているけれどこのまま知らぬ間に小さくなって消えてくれればいい。

思い出してしまうと今だって苦しいくらいの切なさと悲しさに襲われる。

もう二度と触れられない優しくて柔らかい温もり。心地よかった体温。耳に馴染んだ声。


本当に……愛していた。


曜はどうだろう。

正直、薫がダメならじゃあ次…なんて器用さは持ち合わせてない。

でも彼が向ける真摯な気持ちは、気にせずにいられない。

憎いほど嫌いだったはずなのに、本来の彼はそうではない…そう思う姿を垣間見るたび少しずつ心を許している自分がいるのは確かだ。

それに………。

抱きしめられたり、さっきみたいに不意にキスをされたり。戸惑いはするけれど拒否反応を示さない私がいる。


………私は、間違えずに答えを出せるのだろうか?


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