いと。
話を聞いて心臓が飛び跳ねた。
…京香が来ているなんて。
しかもひとりで。
京都の実家に戻ってから、俺が会いに行った時以外一歩も外に出ようとしない彼女がまさかここまで来ているなんて。
車を急がせ自宅へ向かう。
白塗りの壁やガーデニングでいっぱいの庭は、結婚したばかりの頃いつかこんな家に住みたいと言っていた彼女の希望を叶えたものだ。
記憶の覚束ない彼女が覚えているわけのない若い頃のふたりの夢。
いつかここに呼んで一緒に暮らしたい。
それだけを夢見て作り、欠かさず手入れもしてもらっている。
それを………、
「こんな形で見せることになるなんて。」