いと。
いつか見た自信は影もなく…戸澤は肩を落としていた。
でも…
「心当たりなんて、ない。
俺と別れるのに一切を消した女だぞ?
愛が本気でもう会う気がないのなら探しようがない。
ちょっとでも会話に出たとかそういう所にもいかないだろう。
…いるとしたら本人さえ、行ったことも行きたいと思ったこともない所かもしれない。
それをどうやって探す?
日本中をしらみつぶしに回るしかない。
………愛の傷が癒えるのを願って、解放してやれよ。」
「……………それでもオレは、愛を手放したくないんだ。」
絞り出される声。痛いほどわかるその気持ち。
俺もその想いを持ってのたうちまわった。
「…じゃあ探してやれよ。お前が本当の『愛しいひと』ならまた巡り会えるかもしれない。
俺は目の前の大事なものを守るので精一杯だ。」