いと。

多久島から有力な情報は聞けなかった。

…そりゃそうだ。

苦しみながらも綺麗さっぱりアイツを切り捨てた愛がオレに、自身を探させるヒントを残しておくはずがない。

「…悪いな。力になれなくて。」

そう言って帰っていく姿は寂しそうだった。

ただ、左手の薬指に光る真新しい指輪だけが印象的だった。


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