いと。
「彼は……愛を見つけられるだろうか。」
ワイングラスを傾けながら呟くと、隣に座る京香は切なそうに笑った。
「愛だって彼に会いたいはずです。想いあっていれば…いつかは必ず結ばれると信じて報告を待ちましょう。
今回の情報は確かなんでしょう?」
「………そうだ。」
「なのに自分で行く勇気がなくて曜さんに託した。」
「……………そうだ。」
「それなら大丈夫です。きっと……連れ帰ってくれるはずです。」
「……………。」
私はただ…怖かった。
私が行っても拒絶されるであろうことはわかりきっている。話すら、聞きはしないだろう。
謝罪したくて…ちゃんとした親子になりたくて…ひたすらに探し回ったはいいが、いざ娘の影を見つけると尻込みしてしまった。
「…情けない父親だな。」
気づくとテーブルに乗ったワインのボトルは、酔わせてくれることなくカラになっていた。