いと。
「よし…と。じゃあ、お先に失礼します。」
仕事を終え、事務所を後にする。旅館の裏手にあるこの事務所は、旅館と繋がってはいるけれど私がそちらに行き来することは殆どない。
接客業が割と好きだった私としてはちょっと寂しい仕事だ。
そこから寮までは歩いて5分ほど。…何の苦もない。
ー パチリ ー
電気を点け、ストーブをつける。ここの寒さにはエアコンよりストーブの方がいいから。
「……ふぅ。」
疲れやすくなった身体を定位置の座布団に落とし、テーブルに突っ伏すようにしてボーッとしているとそのまま夢の中に引き摺られてしまった。