いと。

「まさか本当にこんなにすぐ挙式になるとは思わなかったよ。」

神聖な式の後、曜とふたりまた愛を誓ったその教会を眺める。

お腹はまた少し、重くなってきた。

「いや、お義父さんが言い出した時点で確定だった。あの人の行動力と決断力は愛と似ててすごいから。」

「そう……なんだ。」

そう。この教会は『娘のウエディングドレス姿を見たい』という一心で父が探し当てた。

ドレスは母が着た物を私のお腹に合わせて急いで仕立て直した。……仕立て屋さんにかなりムリを言って。

あれよあれよと言う間に進めていく父の行動力に私も呆気にとられたけれど、この手腕があるからこそのましろ…と思えば納得がいった。

それに…、バージンロードを一緒に歩いた父の表情はとても柔らかくて優しくて、満足気だった。


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