いと。

幸せの涙を浮かべる愛を宥めていると一瞬ピクリと、その顔が驚きに固まった。

「…どうした？」

ゆっくりと視線を合わせてきた愛は膨らんできたお腹に添えたオレの掌にその華奢な両手を重ねる。

「………曜は気づかなかった？」

「何が？」

「………赤ちゃん、動いたよ。プクプクって、少しだったけど…動いた。」

「……………そっか。」

オレには全くわからなくて正直ちょっと悔しかったけど、満面の笑顔を浮かべる彼女を見れたからそれでよかった。

幸せだった。

そんなオレをニヤニヤ見ていた亨には後から、

『お前デレデレしすぎ。あんな顔初めて見たよ。』

そう言われたけどいいんだ。


だってしょうがないだろ。


愛しくて愛しくて仕方ない女が、俺の隣で笑ってくれてるんだから。


亨、お前にはまだわかんねぇよ。