いと。

夕方、西日が差し込むショーウィンドウのパーテーションを下げる。

「空気が埃っぽい気がするな…。」

外を眺めながらそう独り言を呟き、南側にある通りに面したショーウィンドウに目を移すと…

「…っ!」


そのガラスの向こうに


私がこの世で一番大嫌いな……


父が立っていた。


その表情は硬く、やはりどこか私を見下す視線を向けている。


「………っ!」

堪らず私は外に飛び出した。

ここは私の世界だ。

足を踏み入れるなんて許さない。


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