いと。
「……っん。…はぁ、薫……」
唇の奥深く深くまでその柔らかい生き物に翻弄され、吐息が漏れる。
自分から仕掛けたクセに…、その応え方に溶かされるように主導権をあっさり手放してしまった。
「……愛。自分から攻めてきたんだろ?
もう降参しちゃうの?」
その声は低く甘く艶やかで、どこまでも私の心に染み渡っていく。
大好きな、たったひとり愛しい薫。
首の後ろに手を回し、その髪を緩く括っているゴムを解く。
すると…髪がハラリと落ちてくるのと一緒に、首筋にいつも少しだけつけているコロンのムスクの香りが私の女の本能の部分を熱く刺激した。
「………薫。
薫になら負けていい。…負けたい。
だから……………して。」
苦しく、掠れるような声しか出なかった。
「……………」
そんなこと滅多に言わない私がそんな風に懇願したのだから薫は驚いたんだろう。
少し考えて…、極上の笑みを浮かべて口を開いた。
「仰せのままに。……俺の愛しいひと。」