常務サマ。この恋、業務違反です
つい数時間前のことを思い出すと、そればかりが頭にちらついて、仕事に集中出来なくなる。
午前九時。オフィススタイルで出社した後、私は余計なことを考えないように一心不乱に仕事をした。
手が止まって思考が揺らぐのを恐れるように、ただバタバタと、いつもよりもちょっとオーバーリアクションで仕事を片付ける。
「高遠さん、午後の会議の資料出来ました。メールに添付したんで、一度確認して下さい」
デスクに座ったままで、九十度の角度で座っている高遠さんに声を掛けた。
「え? ああ、……サンキュ」
高遠さんはぼんやりと返事をして、気だるそうに右手でマウスを動かす。
出社して再び会った高遠さんは、ずっとこんな調子だ。
テキパキ仕事をしたい気分の時に限って、直属の上司が完全に上の空で、私の方が落ち着かなくなる。
「あ、あのっ! 私、今手空いたんですけど、何かやることありますか?」
手元がガラ空きになって、私は元気にそう声を掛けた。
高遠さんは、私が送った会議資料に目を通している。
いつもは私が置いて行かれるばかりでどんどん距離が離れて行くのに、今日の高遠さんはこっちが焦れるくらいのんびり……というか、全然仕事に身が入っていない。
居ても立ってもいられなくなって、もう!と小さく呟きながら、私は意を決して高遠さんのデスクの隣に立った。
「あのっ。何かやること……」
「え? うわっ!」
頬杖をついてぼんやりとパソコンの画面を見つめていた高遠さんは本気で驚いて、そのまま椅子ごと私から逃げた。
午前九時。オフィススタイルで出社した後、私は余計なことを考えないように一心不乱に仕事をした。
手が止まって思考が揺らぐのを恐れるように、ただバタバタと、いつもよりもちょっとオーバーリアクションで仕事を片付ける。
「高遠さん、午後の会議の資料出来ました。メールに添付したんで、一度確認して下さい」
デスクに座ったままで、九十度の角度で座っている高遠さんに声を掛けた。
「え? ああ、……サンキュ」
高遠さんはぼんやりと返事をして、気だるそうに右手でマウスを動かす。
出社して再び会った高遠さんは、ずっとこんな調子だ。
テキパキ仕事をしたい気分の時に限って、直属の上司が完全に上の空で、私の方が落ち着かなくなる。
「あ、あのっ! 私、今手空いたんですけど、何かやることありますか?」
手元がガラ空きになって、私は元気にそう声を掛けた。
高遠さんは、私が送った会議資料に目を通している。
いつもは私が置いて行かれるばかりでどんどん距離が離れて行くのに、今日の高遠さんはこっちが焦れるくらいのんびり……というか、全然仕事に身が入っていない。
居ても立ってもいられなくなって、もう!と小さく呟きながら、私は意を決して高遠さんのデスクの隣に立った。
「あのっ。何かやること……」
「え? うわっ!」
頬杖をついてぼんやりとパソコンの画面を見つめていた高遠さんは本気で驚いて、そのまま椅子ごと私から逃げた。