常務サマ。この恋、業務違反です
二本の長い腕に囲い込まれて、私は無意識にゴクッと息を飲んで一歩後ずさった。
身動き出来るのは、あまりに狭い僅かな空間。
私のお尻は直ぐにデスクにぶつかって、それ以上逃げ場を失ってしまう。
「た……かとお、さん……」
心臓は、怖いくらい高鳴っていた。
私が見出したシャイな一面の片鱗すらも感じさせないその態度。
だからこそ、高遠さんが相当怒っているのが感じられる。
なんて言えば高遠さんが落ち着いてくれるのか、私には全くわからなかった。
あまりに近過ぎる距離。
どこに視線を合わせていいかもわからず、私は身体を震わせた。
「嘘言え。今だって、逃げようとしてる」
「それは……! お互い少し冷静になった方がいいって思って……!」
「俺は、このままでいい」
ピシャッと短い言葉で言い退けて、高遠さんは目を伏せた。
「冷静になったら……こんなこと、聞けなくなる」
「こんなこと、って……」
「あの男が本当に葛城さんの彼氏じゃないのか。
……そんなことが気になる自分がよくわからなくて、認めたくなかったんだけど」
早口で吐き出すように言ってから、高遠さんはキュッと唇を引き締めた。
「……気になって仕方ないのに、うやむやにしたままじゃ……。俺はあんたの前で、この先ずっと冷静になり切れない」
「っ……!」
グッと身体の距離を狭められて、本能的な怯えに声を上げそうになった。
それより一瞬早く、高遠さんは私の顎を掴んでグイッと持ち上げた。
身動き出来るのは、あまりに狭い僅かな空間。
私のお尻は直ぐにデスクにぶつかって、それ以上逃げ場を失ってしまう。
「た……かとお、さん……」
心臓は、怖いくらい高鳴っていた。
私が見出したシャイな一面の片鱗すらも感じさせないその態度。
だからこそ、高遠さんが相当怒っているのが感じられる。
なんて言えば高遠さんが落ち着いてくれるのか、私には全くわからなかった。
あまりに近過ぎる距離。
どこに視線を合わせていいかもわからず、私は身体を震わせた。
「嘘言え。今だって、逃げようとしてる」
「それは……! お互い少し冷静になった方がいいって思って……!」
「俺は、このままでいい」
ピシャッと短い言葉で言い退けて、高遠さんは目を伏せた。
「冷静になったら……こんなこと、聞けなくなる」
「こんなこと、って……」
「あの男が本当に葛城さんの彼氏じゃないのか。
……そんなことが気になる自分がよくわからなくて、認めたくなかったんだけど」
早口で吐き出すように言ってから、高遠さんはキュッと唇を引き締めた。
「……気になって仕方ないのに、うやむやにしたままじゃ……。俺はあんたの前で、この先ずっと冷静になり切れない」
「っ……!」
グッと身体の距離を狭められて、本能的な怯えに声を上げそうになった。
それより一瞬早く、高遠さんは私の顎を掴んでグイッと持ち上げた。