常務サマ。この恋、業務違反です
M-7 撤退せよ!
ランチタイム真っただ中のカジュアルレストラン。
せかせかとオーダーを聞いてテーブルから離れて行く店員を見送ってから、ほんのりレモン味のお水を口に含む。
そして真っ正面から向けられる湿っぽい視線に、私はおずおずと目線を上げた。
「……新庄さん、何かな」
探られる感覚が居心地悪くて、私はぎこちなく笑いながら新庄さんの言葉を促してみる。
待ってましたと言わんばかりに、新庄さんがこっちに身を乗り出して来た。
「……葛城さん、私達に報告してくれたよね。高遠さんと付き合うことになったって」
「う、うん……」
敢えて報告しようと思った訳ではなく、凄い勢いで質問攻めにあったから根負けしただけ。
航平と付き合い始めて二週間経った時、私はランチの席でたどたどしく告白した。
「あれを聞いた時、私は少なからずショックだったのよ。なんでうちの社の極上のイケメンを派遣社員の葛城さんに持って行かれちゃうかなあ、って」
「う……ごめんなさい」
「謝らないでよ。優越感に浸ってるように聞こえる」
「う」
条件反射でごめんなさいと繰り返しそうになって、私は肩を竦めて唇をキュッと引き締めた。
私と新庄さんのやり取りを聞きながら、山田さんがクスクス笑っている。
「葛城さん、気にしなくていいよ。だって葛城さんを選んだのはうちのエグゼクティブなんだし。新庄さんも単に羨ましいだけだから」
「あ、何よ~、それ」
山田さんのほんわかした言い方に、新庄さんは一瞬唇を尖らせる。
そしてチラッと私を見遣ると、フウッと大きく肩で息をした。
せかせかとオーダーを聞いてテーブルから離れて行く店員を見送ってから、ほんのりレモン味のお水を口に含む。
そして真っ正面から向けられる湿っぽい視線に、私はおずおずと目線を上げた。
「……新庄さん、何かな」
探られる感覚が居心地悪くて、私はぎこちなく笑いながら新庄さんの言葉を促してみる。
待ってましたと言わんばかりに、新庄さんがこっちに身を乗り出して来た。
「……葛城さん、私達に報告してくれたよね。高遠さんと付き合うことになったって」
「う、うん……」
敢えて報告しようと思った訳ではなく、凄い勢いで質問攻めにあったから根負けしただけ。
航平と付き合い始めて二週間経った時、私はランチの席でたどたどしく告白した。
「あれを聞いた時、私は少なからずショックだったのよ。なんでうちの社の極上のイケメンを派遣社員の葛城さんに持って行かれちゃうかなあ、って」
「う……ごめんなさい」
「謝らないでよ。優越感に浸ってるように聞こえる」
「う」
条件反射でごめんなさいと繰り返しそうになって、私は肩を竦めて唇をキュッと引き締めた。
私と新庄さんのやり取りを聞きながら、山田さんがクスクス笑っている。
「葛城さん、気にしなくていいよ。だって葛城さんを選んだのはうちのエグゼクティブなんだし。新庄さんも単に羨ましいだけだから」
「あ、何よ~、それ」
山田さんのほんわかした言い方に、新庄さんは一瞬唇を尖らせる。
そしてチラッと私を見遣ると、フウッと大きく肩で息をした。