常務サマ。この恋、業務違反です
「……あのな。なんて顔してるんだよ」
「え?」
そんな言葉に思わず航平を見つめると、今度は航平の方が私から目を逸らした。
「……そんな顔されたら、こっちの方が照れ臭くなる」
ちょっと不機嫌そうな声。
私の目に映る航平の耳は真っ赤に染まっている。
「ご、ごめんっ……。ありがとうっ」
カッと頬が熱くなるのを感じながら、私は航平の手から自分の手を勢いよく引っ込めた。
そのまま航平にクルッと背中を向けて、右手でギュッと指を握り締めた。
「……」
私の背後で、航平が無言でガシガシと髪を掻き毟ってるのがわかる。
気まずい、というのとは違う。
ドキドキと鼓動は高鳴る一方で、私も航平も黙ったままお互いを探り合うような空気が妙に落ち着かない。
航平を振り返れず背中を向けたまま、私は右手で握り締めた左手で胸を抑えた。
航平も何も言わないままで、ただ私の後ろに立ち尽くしている。
そんな空気に焦れたのは、どっちが先だったんだろう。
「……航平……」
名前を呼んで大きく振り返ると同時に、航平の指がコンロに動いた。
そして、沸々と煮立っていた鍋の音が止む。
それを横目で意識した私に、航平は短く、ごめん、と呟いた。
小さな謝罪の意味を問い掛ける間もなく、航平が私に覆い被さるように顔を近付けて来る。
そうして熱い唇が触れ合った瞬間。
考えごとをしてる余裕なんか、なくなった。
「え?」
そんな言葉に思わず航平を見つめると、今度は航平の方が私から目を逸らした。
「……そんな顔されたら、こっちの方が照れ臭くなる」
ちょっと不機嫌そうな声。
私の目に映る航平の耳は真っ赤に染まっている。
「ご、ごめんっ……。ありがとうっ」
カッと頬が熱くなるのを感じながら、私は航平の手から自分の手を勢いよく引っ込めた。
そのまま航平にクルッと背中を向けて、右手でギュッと指を握り締めた。
「……」
私の背後で、航平が無言でガシガシと髪を掻き毟ってるのがわかる。
気まずい、というのとは違う。
ドキドキと鼓動は高鳴る一方で、私も航平も黙ったままお互いを探り合うような空気が妙に落ち着かない。
航平を振り返れず背中を向けたまま、私は右手で握り締めた左手で胸を抑えた。
航平も何も言わないままで、ただ私の後ろに立ち尽くしている。
そんな空気に焦れたのは、どっちが先だったんだろう。
「……航平……」
名前を呼んで大きく振り返ると同時に、航平の指がコンロに動いた。
そして、沸々と煮立っていた鍋の音が止む。
それを横目で意識した私に、航平は短く、ごめん、と呟いた。
小さな謝罪の意味を問い掛ける間もなく、航平が私に覆い被さるように顔を近付けて来る。
そうして熱い唇が触れ合った瞬間。
考えごとをしてる余裕なんか、なくなった。